2018年1月27日

しらを切るメディア

京都大学のiPS細胞研究所で発覚した不正論文問題で、所長の山中氏がその不正論文が投稿された科学誌の創刊に深く関係していて、山中氏自身への疑惑を報じた共同通信社の配信が、実は問題無いことを問題のあるように伝える「虚偽報道、捏造報道」と一斉に批判され、あろうことかURLはそのままに内容やタイトルを何の前触れも説明も無く書き換え、さらに炎上している問題。この科学誌というのは、もともと山中伸弥氏がノーベル賞を受賞したことを記念に創刊されたものという事で、それならばどう言う形かは別にして創刊に関わっていることは不思議ではない。今回の不正論文問題にしても、山中氏が共著者でもなく、全く関係無い話。逆に、組織として不正を見つけて検証しちゃんと公開して謝罪しているわけで、一般の会社で言えば社員の不祥事を社長自らが公に謝罪したようなもので、そこに何らせめられる理由は無いはずなんだけど、何でもかんでもスキャンダルにしたいのか、共同通信社の配信記事はそれが意図的であれば捏造・虚偽であるし、そうでは無く記者の知識不足経験不足が理由であれば、余りに資質不足で通信社として「恥」とも言えるもの。

さらに酷いのが、情報を配信する会社なのに、何の断りもなく最初から無かったような行為をしていることで、それって仮に記事の内容が問題の無いものであっても「虚偽配信」と言っても良いんじゃ無いのか。実際、共同通信社のサイト記事は差し替えられていて、今では問題の無いような内容になっているけれど、最初の記事を受信した地方の新聞社などはその内容で紙面を作成して発行しているから、これではまるで地方紙が悪いようにも見られる。これに対して問い合わせたところ返事は
「新たな要素を加えて記事を差し替えました。編集上、必要と判断しました。その他についてはお答えは控えさせていただきます」
と、けんもほろろと言うかしらを切るというか。「新たな要素を加えて」って言っても、最後にちょろっと最初の記事の内容が残されているけれど、内容的には全く異なる話で「加えて」っていうのは完全にアリバイ工作。さらには、そういう事態になった説明もないわけで、共同通信社の「説明責任」の「せ」の字も感じられない内容。

今、世の中的には「IoT (Internet of Things)」が言われていて、身の回りのデバイスがインターネットに接続して色々なサービスが便利に利用出来るようになってきています。で、個人的にはさらに進んだ「IoM(Internet of Matter)」の時代というものを考えるべきだと思っていて、それはそういうデバイスだけで無く、例えばクラウド無いのObjectやこう言う記事のようなArticleのような「データセット」もネットに接続し、今のようにデータをコピーして使用するのではなく、その元データをソースにして、そこに自分の加工内容をオーバーレイしていくような世界が必要だろうと思っています。仮に元データを実際に加工して別の成果物にするなら、新たにアドレスを振り直して識別できるようにする。これによって、情報が一元化されるしデータの効率的な利用も出来るはずで、さらには信頼性も上がるはず。まだまだ空想の範囲を超えないけれど、情報社会としてはそういう方向に進むと思うと、今回の様な行為というのはレガシーメディアの衰退を象徴するものだし、このメディアとしての存在意義を否定した行為とも言えるんじゃないだろうか。

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