2017年6月18日

誰に対しての謝罪?

昨日、小池都知事が築地市場を訪問し「無害化を達成できないことを謝罪」したというけれど、それは誰に対してなのだろうか。移転賛成派は、既に対策されている内容で十分に商品品質は維持できると考えており、さらなる対策は無いよりは良いだろうが、それによって余計なコストが発生したりまた混乱するのはご免という立場でしょう。移転反対派は、その「無害化」が出来ていないことも理由の一つだろうけど、一番の理由は今の築地から動きたくないという事だから、逆に無害化されたら困る。そういう状況から見ると、小池都知事は移転反対派に対して暗に「豊洲市場への移転」を想定して現状を謝罪したことになるわけですよね。

会合後、記者が今週中には豊洲移転の方向性を示すのかという質問に気色ばんで反論したようだけれど、自分としては最大の見せ場になるようなタイミングで次の「アイデア」を披露したいのに、既に出鼻を挫かれていることが不満なんでしょうね。多分彼女としては、悩みに悩み究極の選択をしたけれど、でも豊洲での安全を確保しつつ築地という安心感も維持するために両方をうまく活用して進めていく、みたいな事を言いそうな気がする。あるいは、移転反対派を宥めるために、無害化できなかったことに対しての保証をして、彼らが抱えている借金の実質的棒引きとか、それ位の「ニンジン」をぶら下げて、先ずは一度豊洲へ移動し、それから築地再生を考えましょう、みたいなまた「画に描いた餅」の話をするような気がする。

現実問題として、豊洲市場への移転には築地市場の売却ないしはそれを利用した収益で相殺するという前提があるわけだから、豊洲に移動してその後築地にまた戻るというのは、50年、100年後には可能性として有るかもしれないけれど、10年20年というスパンの話では有り得ない。大体それでは築地の土地売却が出来ない訳だし、規模だってオリンピック関連で道路を作ったりしなきゃいけないから狭くなることは確実。今の場外にあるような飲食店や物販施設をまとめて「築地市場」みたいな名称で立ち上げることは有りだと思うし、実際それに近いことは「築地魚河岸」が既に実現しているわけで、珍しい事では無い。ただ、豊洲市場周辺にも集客のためにそういう娯楽施設を作る計画があるわけで、余りに「築地」を強調しすぎても、今度は豊洲が困ることも考えられるわけで、その当たりのバランスというか関係を上手く作らないと両方共倒れになる可能性もありますからね。

いずれにしても、結局は舛添前都知事の状態に戻るだけで、逆に豊洲市場の無害化というのは舛添氏が現実的な規準に敢えて戻した値を、其れ以前の石原元知事時代の厳しい条件に戻してしまうことになるわけで、逆に自分で自分の首を絞めていることになるというのは理解されているのだろうか。多分彼女としては、築地改修を明言するよりは、豊洲移転を示すことでまだ投票先を決めていない無党派層をより多く取り込めると考えたから、こう言う行動をしているのだと思うんですが、彼女の決断には同意しても、それが都民ファーストからの候補者への得票に繋がるのかは疑問だけれど。と言うか、事は市場移転の問題だけで無く、それに関連して様々な事象が待ち行列に入っていて、それらがずっと停滞していることをもっと真剣に考えないと、数年後に全てが破綻するような気がする。

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