2017年6月29日

AI将棋

藤井四段の29連勝の話題は、色々な番組やワイドショーで取り上げられていて、その中の話題の一つに「AI」も含まれています。我々の世代だと、パソコンを利用した将棋ソフトというのは、ある意味定番ソフトの一つで、その次にオセロだったかな。海外だとチェスが主流なのかもしれないけれど、やはり昔から馴染みのあるものという意味で、結構人気ソフトの一つでした。初期のソフトは、素人相手には先ず負けないソフトだったけれど、やはりそれなりに技術を持った人が対戦すると、例えば定石の取り方一つ、駒の進め方一つに差があり、そんなに強いとは言えないものでした。その最大の理由は、やはりコンピューターのリソースの問題。記憶領域もそうだし、CPUのスピードもそうだし。

当時のソフトは、その局面から想定される次の手を試して確率の良いものを選択していくみたいな感じで、長考する度合いが大きかったように記憶しています。それがハードの性能がアップしてくると、事前に過去の棋譜などを読み込んで簡単な学習パターンを持ったりして、より効率的な探索ルーチンを持つようになり、そらには最近のソフトでは自己学習能力もアップして居るみたい。

コンピューターソフトの中で、確かオセロに関しては結構早い時期にある程度完成したものが出ていたように思います。チェスに関しても、IBMのDeep Blueが勝利したこともあって話題になったけれど、チェスに比べて取った駒を理由出来る分複雑になる将棋ソフトがDeep Blueよりも簡単なシステムで動いているのは一寸面白いと思いますね。

AI将棋を利用する最大の利点は、一つは自由に何度でも対局できるから、経験値を加速させることが出来るのが最大のメリットではないかと。過去の棋譜を研究するというのは昔からやられていることだと思うけれど、それを実際に動かしてみてさらにそこに別のパラメーターも入れて変化を付けることで、さらに応用範囲の広い経験をする事出来る。特に昔のようにデータを集めて分類しただけのものでは無く、最近では学習機能があるので、同じ手を進めていても前回とは異なる方向に進む場合も有るわけで、それって経験の加速化では大きな要素だと思う。もう一つは、これは昔のソフトにもあったけれど、差し手を記録しているから、何度でもその場で巻き戻しも早送りも出来る事。将棋の達人なら頭の中で蹲踞とは簡単にできるんだろうけど、棋譜を巻き戻す作業とそれを検証する作業を一度にするよりは、巻き戻しはAIに任せて自分はその検証に集中する方が効率はいいと思いますしね。

今回藤井四段が逆転する切っ掛けになった決め手が、実はAI将棋でも最善の手として示されていたみたいな事が伝え割れているけれど、ある程度思考パターンが似てきているのかもしれない。それはそれで、相手に読まれる可能性も高くなるんだろうけど。暫く前に、対戦中にスマホの将棋ソフトで差し手をカンニングしていたんじゃ無いかという疑惑がありましたが、あれも若しかしたらそのスマホソフトを常用する余り、差し手のパターンが似てきたためだったのかもしれない。AIが寄せてくるのか、自分がAIに近づくのか分からないけれど、色々な分野で似たようなことが生まれてくる気がしますね。それが良いのか悪いのかはまだよく分からないけれど。

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