2017年1月23日

過大な期待

トランプ氏の大統領就任演説を聴いていてふと思ったんですが、この演説内容を仮にアメリカ以外の大統領あるいは主将などその国のトップが話したとしたら、同じような反応が返ってくるのだろうかという事。凄くラフにまとめると、国内産業を重視します、弱体した経済や外交を立て直して強う国に戻します、と言う事だと思うので、それって極々普通なことでは無いかと。問題なのは、世界のスーパーパワーとして、世界の警察として、さらに世界最大の市場としてある意味この地球を支えてきていた「アメリカ」が、キャンディーズでは無いけれど(古い!)「普通の国に戻ります」みたいな事を言い出しから、それまで頼っていた国々は困るし、対抗する国々も狼狽してしまう。

経済に関して言うと、既にアメリカと言えども製造システムはグローバル化しているわけで、国内だけで全て賄うというは難しいし逆にコストアップして高い製品を国民に売りつけることになりかねない。またネットで広い見てなるほどなと思ったのが、今のアメリカ国内産業というのは製造業から情報とかサービス業へシフトしているので、トランプ氏が言っている自動車産業を国内回帰させることは、実は余り国内産業にとって大きな事では無いと言うような話。これらは、今回票を獲得した元々は民主党地盤の五大湖周辺の州が自動車産業中心の工業地帯なので、それらに対してのリアクションではというのは何となく納得できる話。既にアメリカのメーカーや日本のメーカーが国内投資の話や雇用拡大の話を言っているわけで、トランプ氏としてはこれで選挙の時の義理は果たしたと言って終わりに出来そうな気がします。大体自動車以上にアメリカを代表する製造業である航空機メーカーだって、じゃぁAirBus二アメリカ国内の工場を作れというのか、ブラジルのエンブラとかどうするのだろうか。

外交に関しては、まずはイギリスとスタートして、次にカナダとメキシコと、歴史的地勢的な関係をこれまで通り重視している気がします。イギリスとは、EU離脱の絡みもあり今後は協力しやすいという目論見もあるかもしれないし、カナダ・メキシコとはNAFTA関係でこれからも色々ありそうだし。問題は、その後ですよね。日本としては出来れば四番目の階段国として存在感を示したいのだろうけど、今のところ一寸厳しのかも。昨晩のCXの番組で木村太郎氏が面白いことを言っていたけれど、トランプ氏が興味を持つ話題を提供出来れば優先順位は上がるし、そうで無ければ後回しになる、と。経済にしても外交にしても軍事にしても、彼が緊急性とか重要性を認識するような話題を提供出来れば想起の会談が実現できると言う事で、そう言う意味では就任前に実質的な階段をした安倍首相としては、その時の前振りの具体的な話を盛っていかなきゃならないわけで、ちょっっと厳しいかもしれませんね。トヨタがいち早く経済的な支援を表明したけれど、それに続く物が無いとなかなか国内的な世論を押さえることは難しいだろうし、TPPに関しては破棄することを言っている以上、一旦は破棄させた上でどの様に同等の地域経済自由化のメリットをアメリカに飲ませるか。この辺りは、一番恩恵があるのがアメリカで有る事を説明することで、名称は違っても同様のシステムが出来れば、域内国にとっては利益があるわけですから。

例えとしては悪いかもしれないけれど、これまで気前良くクーポンやオマケを付けてくれていた近所のお店が、経営が厳しくなってきたのと、余りのオーナーの気前よさに従業員が不満を言い出したので、これまでの姿勢を見直して常連さんにはこれまで同様気前良く、そうで無い一見さんやライバルのお店には厳しくという、最近のビジネスの流れに沿ってきたように感じます。となると、以下にアメリカのご機嫌を取るのかという話にもなりそうで、1980年代の日米貿易摩擦みたいな事が再現されるのかと不安にもなるけれど、当時と事なり経済でも産業でも政治でも日米は勿論アメリカと強く結びつく、結びつかざるを得ない国々は多くなっているわけで、そう言う意味ではアメリカが国内回帰することはある程度仕方ないとしても、それが昔のように一国独占みたいな形には今はなれないならないということを、もう少ししたら認識するんじゃ無いだろうか。楽観的な考えかもしれませんが。

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