2016年12月21日

紙とSNS

産経新聞に掲載された、中国のメディアに関しての記事。日本では、まだまだ旧来の「印刷メディア」の存在が大きいけれど、中国の場合はその紙メディアが信用できない(=政府の御用メディア)事もあるから、ネット経由の情報拡散は大きいでしょうね。政府の規制もあるけれど、正直イタチごっこになるのは明らかで、そうなると即時性のあるネット情報の方が強いと思う。印刷メディアなら焚書してしまえば無くなるけれど、ネットでは一つ消してもその何倍ものコピーが広まりますから。

印刷媒体の場合は、いつでも手軽に読むことが出来る半面、それを流通させる仕組みや速報性ではデメリットがあります。ただ、今のネット情報に馴染めないグループは必ず存在するし、それは年齢層が高くなるに連れて大きくなっていくだろうから、そう言う意味ではある程度の勢力維持は続くんでしょうね。ただ、印刷媒体であるが故に、それをコピーして流通させることは出来ないし、内容に関しての反応(賛成意見、反対意見、批評、等等)も、同じ媒体で出そうとすると、これまた大きなエネルギーが必要。そう言う意味で、大手メディアから一般読者への一方通行のメディアであることに変わりは無いですよね。昔は他の方法が無かったし、メディア側もそれなりに意識の高さがあっただろうから、それはそれで不便は無かったし効率的ではあったけれど、最近ではメディア自体が変質しつつあるから、正直信頼できる情報ソースとしての役割に疑問が生まれつつあると言って良いのでは。

一方でネット情報は良くも悪くも即時性と拡散力が最大の武器。だから、情報の信頼度という意味では低くなるけれど、それを承知した上で上手く利用すれば、これほど強力なツールは無いと言っても良いのでは。もう一つの武器は、そのネット情報を受け取った読み手側が、それに対してダイレクトに反応できると言う事。情報の相互通行が可能になることで、そこで情報のスクリーニングがされて、上手くいけば情報が精錬されて付加価値が上がるけれど、でも正直なところノイズが増えていくだけで、逆に疑わしい情報がノイズによって正しい情報のように感じられてしまうことも。だから、情報リテラシーをどれだけ磨いているかが、今の時代では漢字をどれだけ覚えているか、英単語をどれだけ知っている火よりも、ある意味重要で大切な能力と言って良いかも。

既存メディアもネットに情報転載を初めて時間がたつけれど、結果的に「転載」するだけでネットの双方向を生かし切れていない。やり方は色々あると思うけれど、もっと双方向性を利用して、情報を提供して終わりでは無く、その情報を精製して精錬して、一つの「作品」に仕上げるくらいの根気良さと謙虚さを持てば、もっとネット情報も生きてくると思うんですけどね。それは、時には自分達の主義主張を否定する事になるかもしれないし、実は元々の情報が間違っていたことを証明する事になるかもしれず、それって少なくとも今のメディアの世界で仕事をしている人達にとっては受け入れがたいことでしょう。それが理由とまでは言わないけれど、そう言う精神的なブロックがあることも事実では。その点一般のアクティブユーザーは、そんなことは気にしないで情報発信するから、結構付加価値の高い情報が多いような気がする。同じ紙媒体でも、日刊の新聞と週刊・月刊の雑誌、さらには何年かに一回出されるような書籍と、その内容やスタイルが全く異なるように、ネット情報にはネット情報のスタイルがあるわけで、そのネット情報にも同様にいろいろな属性があるはず。そういう所を、もっと日本のメディア見極めて単なる転載ビジネスから抜け出さないと、多分政府の制限は大きいけれど、中国のネット情報の方が正確で付加価値が高い、という時代が直ぐにやってくるかも。

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