2016年10月22日

フィリピンの戦略

初の公式訪問で中国を訪問中のドゥテルテフィリピン大統領。それまでスーピック等に駐留していたアメリカ軍を追いだし、自由だと喜んだのもつかの間中国が南シナ海に浸透し、それもあって再びアメリカ軍の駐留を許したのに、あっと言う間に元に戻してしまう。しかも、その南シナ海に関しては国際仲裁裁判所での裁定もでていたのに、それすらも棚上げにして中国からの経済支援を得たいと言う事なんだろうか。

ぶっちゃけた話、国と国との関係は会社などの活動は全く異なるものなので、ドゥテルテ大統領がどの様な判断をしてもそれはフィリピンの自由ではあるけれど、それでもやはり周りとの落つ機会もあるし、さらにその外側にいるだろう人達とのお付き合いもあるだろうし、やはり一定のルールというか理解は必要。それを、予め予想されていたとは言えこうもはっきりと態度で示すとなると、かなり彼としてもこれまでとは方向性を大胆に変えていくつもりなんだろうか。

一寸よく分からないのは、この後来週火曜日から彼は日本に来るわけで、そこでは多分180度異なる事を要求される事になると思うのだけれど、それとの辻褄合わせはどうするんだろうか。外交の手法は色々あるんだろうけど、先にこれだけ中国との接近を世界に見せた後では、日本に来てのやりようも無い気がするんですが。それならば先に日本に来て、中国に対しての脅威を訴え、その後中国に行き話し合いの結果相互に理解出来るレベルになったみたいな理由を付けて妥協に持ち込むみたいなことの方が抵抗は少ない気がするんですが。日本は既にフィリピンに対して巡視艇を供与したりしているわけで、まさかそれを断るとは思わないけれど、どの様に対峙していくのだろうか。

あるいは逆に、中国とは直接対話するようなスタイルにすることで、自分達で好きなようにコントロールできると思っているのかもしれませんね。今回の事があったからと言って、他にも南シナ海には中国と対峙する国があるわけで、アメリカとしてもそれらの国への支援を止めるわけには行かない。その支援活動が、たまたまフィリピンの対しての援護になる事もあるわけで、それは悪いことでは無い。二国間協議だから、他の国の状況は考慮せずにフィリピンは自分達の好きなように話を進めることも可能なわけで、それはかえって利害対立している南シナ海の状況の中ではアドバンテージがあることかもしれない。で、自分達の分が悪くなればそれとなくアメリカの後押しを得られるように手を回すのかも。フィリピンとしては、南シナ海の状況をあえて解決しなくても、少なくとも現状のまま固定化されればそれでも問題無いはずで、それでこれまで以上に経済援助が得られるのであれば、それで十分なのかも。

あと一寸思ったのは、中国のこの手の大盤振る舞いもずっと続くとは限らないわけで、特に経済的にはいつ問題が発生してもおかしくない状況。それならば、まだおサイフの口が開いている今のうちに出来るだけ援助を引き出しておこうという考えなのかもしれません。そこまで考えているとしたら、このドゥテルテ大統領、相当の策士なのかも。

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