2016年4月3日

鴻海シャープ

鴻海によるシャープ買収の契約が締結されて、日本の大手家電メーカーとしては始めて外資系傘下に入ることになったシャープ。当初予定の5000億円規模の買収額が、その後の予想負債などの問題で1000億円も減額され、さらにニュース等で聞こえてくる話では、結局人員削減もあるようだし、上手くいかなければ鴻海は液晶事業だけ買い取るとか、以前のシャープ有利の買収条件が、いつの間にか鴻海有利の内容に変わって行っている気がします。シャープ側も「こんなはずでは」と今頃考えているのかも。有利な条件を提示されて、これ幸いと飛びついたら、退路が断たれてしまったので変えられた条件を飲むしか無い、と言う事だったのだろうか。もしそうだとすれば、鴻海に上手くやられたということなんでしょうね。

シャープという、日本の技術力を代表するような企業が外国企業に買収されるというのは、確かに衝撃的な話だけれど、例えば自動車業界では日産がそういう状態なわけですよね。それでも、たまたま社長になったゴーン氏が良かったのか、日産を立て直すと言う姿勢が良かったのか、今の日産は復活して、あまり海外資本参加の会社という印象はありません。それ以外の自動車メーカーも、海外の会社と資本提携等をしているという状況もありますから目立たないだけかもしれないけれど、それこそ一時は倒産見たいな状況だった日産が、新GT-Rを出すまでに復活して、今では名実共に日本のトップメーカーとして活躍しているのは、やはりゴーン氏を初めとした買収した側の熱意というか意思が大きかったように思います。でも、今回の鴻海側にそこまでの思い入れがシャープに対して感じられるかというと、正直それ程の気持ちの強さは感じられないんですよね。世界最大規模のEMSメーカーとして製造の世界では確固たる地位を築いている鴻海が、「メーカー」としてステップアップするためにシャープの技術力を取り込みたい、という意思が見え見えな気がします。

じゃあ、シャープはこのまま美味しいところだけ取り込まれて、そのうちに消化されて週滅してしまうのかとなると、それはやはりシャープの人達の努力次第と言う事なんですよね。ここで思い出すのが、業種は違うけれど本家と子会社の立場を逆転したセブンイレブンジャパンの事。買収では無くフランチャイズではあるけれど、米国の本社からビジネスを買取日本で成功して、逆に米国側の不振もあったけれど、本体側を子会社のセブンイレブンジャパンが買収して立場が逆転してしまったケースが、シャープとしては一つのゴールになるんだろうか。シャープとしては、鴻海本体と勝負したって、これはネズミと巨像の対決になるから最初から勝負にならないけれど、鴻海としてもシャープの技術力企画力を生かした「付加価値の高い製品開発・製造・販売」というスキーム作りが最終的な目的なはず。革新的な液晶技術は鴻海に流れて行くにしても、鴻海側の製造部門の一部を逆に取り込み、開発から製造まで一貫した会社作りが可能になれば、それはそれで日本の既存メーカーには無い強みになるかも。単に鴻海の購買力を背景にした、素材のコストダウンだけで無く、例えば多品種少量生産による製品のバラエティー化で付加価値を付けるとか、製造調整をすることで、在庫コストを下げたりとか、要するに有り余る製造余力を上手く使うことで、製品単体でのコストダウンだけで無く、流通まで含めたコストダウンをすることで、利益アップに繋がるスキームが出来る気がします。そうなると、鴻海傘下から鴻海グループの中核企業になれれば、昔のように独立したシャープには戻れないかもしれないけれど、「鴻海のシャープ」から「シャープがある鴻海」になれかもしれない。今の日産みたいな感じですかね。そうなることが、シャープの使命じゃないだろうか。

昔から欠航馴染みのあるメーカーの一つだけに、厳しい時代が続くとは思うけれど是非頑張って欲しいメーカーです。

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