2016年4月21日

テレビの次は炊飯器

たまたま目にとまった一般紙の記事。中国で一番勢いがあるスマホメーカーと言っても良い小米科技(シャオミ)が開発した炊飯器が、日本の製品に勝るとも劣らないという話し。実は、それを開発したのは元三洋電機の開発部長さんで、日本で炊飯器を開発したノウハウを小米科技で発揮しているらしい。機能的に同等で、価格は日本製の半分となれば、当然影響はあるだろうけど、ただそれを恐れていても仕方が無いのは、これまでの歴史が証明しています。本来なら、韓国メーカー(SamsungとLGEしか事実上ないけれど-笑)が作っていそうだけれど、彼らの「ご飯」って一寸日本のご飯と違うんですよね。少し固めのぱらっとした感じの、どちらかというと東南アジアのご飯に近い気がする。中国のご飯もどちらかというとそれに近い気がしますが、多分日本風の少し柔らかくて甘みのあるご飯に、中国人の方が慣れたのでは無いだろうか。だから、テレビと違って炊飯器では韓国は日本を追随しなかった、と。まあ、こんなに売れる商品だと認識していなかったんでしょうね。

三洋電機で炊飯器を開発していた人が開発しているので、技術的には遜色ないんでしょうけど、問題はその部長さんやコアのエンジニアさんが日本人だったとしても、それ以外の人材がどれだけ集められて、どれだけ中国内の消費者の嗜好に合った製品を生み出せるかというところ。例えば炊き具合の評価をする人とか、お米の産地によって特徴を設定出来る人とか、場合によっては中国式の炊飯と日本式の炊飯何種類もサポートしないといけないかもしれない。

実は今回の記事で一番ビックリしたのは、最近の炊飯器ってスマホでお米の種類を設定して炊けるんですね。調べたら、日本では3年以上前にそういうモデルが出ていてビックリ。いゃぁ、知りませんでした。確かに、面積やコストに制限がある炊飯器本体に入れ込まなくても、スマホで代替可能だし、多分ネット連携とか考えるとそちらの方が有利でしょうし。何となく自分が「あったらいいな」と思っていたことが、既に実現されていたことを初めて知って、一寸悔しい(笑)。

別に炊飯器だけで無く、時間が経てばどんどん中国やら東南アジアやらインドやら追い上げてくることは確実。今だって、自動車にしても日本に逆輸入していたりするわけで、ある意味必然。そう言うことをグローバル化と言うわけですが、そういう状況を「嫌だ」というのは簡単だけれど、それで解決するわけでは無い。日本で出来る事は、どんどん外に出ていくのが今の時代なわけで、その中で生き残るには新しい物を作るか、今あるものに付加価値を付けて行くか、それしか無いわけですよね。炊飯器にしても、例えばご飯を炊くだけで無く、シチューを作ったりパンを作ったりお粥を作ったりと多機能化したり、あるいは徹底的にご飯炊きにこだわったり、工夫をしているわけで、それは先ずは日本人消費者向けのためのもの。中国人向けには、多分これから小米科技が進めていくでしょうから、そこで張り合っても仕方が無い。日本人が作ろうが中国人が作ろうが、その対象とな消費者の好みが違うのであれば、どちらを狙うかですよね。だから、場合によっては日本よりもマーケットの大きい中国向けに特化する日本のメーカーだって生まれるかもしれない。そういう厳しい時代の中で、どの様に生き残っていくのか、その戦略を作るのはメーカーではあるけれど、消費者にしても自分が必要とする機能やサービスは何なのか、厳しい視点を持っていかないと、これから出てくる商品に振り回されて終わることになるかも。今の中国人消費者のように、より美味しいご飯を求めて小米科技の炊飯器を購入するために、上海に日本人が殺到する時代だって、可能性としてはあるかもしれませんね。

「爆買い」という今の状況に捕らわれずに、次のステップをメーカーも消費者も考えないといけない時代なんだなと再認識した記事です。

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