2015年8月21日

大学のビジネスモデル

かなりビックリしたニュース。東京理科大学が来年度から、大学院の博士課程に入った学生の授業料等の学費をタダにする方針と言う話。入学金(30万円)はタダ、施設設備(18万円/年)もタダ、授業料(80万円/年)は一旦払うけれど、同額の返済不要の奨学金を給付して相殺。博士課程3年間で掛かる約320万円が実質的に「タダ」というストーリーらしい。さらに、約3割の博士課程学生を「リサーチアシスタント」として雇い、年105万円を支払い、さらに年3人程度の若手研究者を試しに雇い成果を残せば正職員採用すると共に、初年度に研究資金1,000万円も提供するという大盤振る舞い。これにより、5年間で40億円程度の支出増加になるという話。凄く学生思いの良い方針ですが、問題なのはその原資はどうするのか、と言う事。5年で約40億円と言う事は、少し余裕を見ても一年で10億円程度の手当てをしないといけない。

で、東京理科大学の予算を見てまたビックリしました。平成27年度の予算を見てみると、収入総額が約945億円とかなり大きく、さらに繰越金が1/3近い330億円程度予定されています。945億円の収入のうち国等からの補助金は約45億円。過去の記録を見てみても、300億円程度のお金が、ほぼ毎年繰り越されています。補助金などがこのまま変わらなければ、繰越金の3%程度を今回の補助金として支出すれば良く、殆ど財政的には影響しないでしょうね。逆に、これによって優秀な人材が集まり、さらに研究活動が活発化されることで、現在は年間15億円前後の受託事業収入や知財関係収入が増えれば、大学としても将来的にメリットが生まれますし実績蓄積にもなりますね。日本の諺で言えば「損して得取れ」をまさに地で行くビジネスモデルじゃないかと。

これ、東京理科大学という「技術系大学」だから生かされるビジネスモデルじゃ無いかと思います。優秀な学生・人材を集めて、より高付加価値な技術蓄積を進める事で、そこからの二次ビジネス、三次ビジネス展開をして、副次的な収入増加を狙うという、上手いスキームですよね。逆に言うと、他の理系大学でもできるモデルですから、他の大学が追随してきたときに、どう言う差別化をして寄り優秀な人材を集めるかが次の課題でしょうね。大学の規模や、予算規模にもよりますが、単純にタダにしてもその大学に魅力が無いと学生も集まらないだろうし、大学としても正直なと頃だれでも良いというわけでも無いだろうし。今回の様なビジネスモデルも一つのアイデアだけれど、例えば博士課程や修士課程で、特許を取ったとか、論文発表等の本数によって全ての費用でなくても年間幾らかのペイバックがあるとか、そう言う奨学金制度のような施策は可能だろうし、それによって学生のモチベーションアップ何ていうことも可能じゃ無いかと。でも、それって今の会社でやっているスキルアップのシステムと同じ気がする(笑)。

公立大学も法人化されて、さらには早稲田・慶応と言う有名大学ですら少子化もあって生き残り戦略が必要となってきている現在、こういうビジネスモデルの開発が重要なんでしょうね。

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