2015年8月12日

原発再稼働の意味

九州の川内原発が再稼働し、約2年振りに原子力発電が再開する運びになりました。個人的には、確かに福島の問題はあるものの、そこから得られた知見を生かして、より安全性を高めつつ科学や技術の利益を教授すべきと言う考えなので、この再稼働には賛成だし、正直なところもっと速くても良かったと思っているくらい。

実は数日前に、朝日新聞にこんな記事が掲載されました。猛暑が続き電力需要が拡大している中でも、電力供給は余裕を持って維持されている。「だから原発再稼働なんて不要」と言っているかどうかは分からないけれど、凄く恣意的なものを感じます。少なくとも無料公開されている前半部分を読む限りでは、電力が足りないと言われているけれど現在でも十分間に合っている、と言っているとしか読めません。さらに同日の別記事では、本来足りないと言われ来た電力がなぜ間に合っているのか、実は猛暑にも助けられて太陽光発電が... という補足記事に続きます。有料記事部分でどの様な話が展開されているかは分からないけれど、ここだけ読むと「原発の再稼働なんてしなくても、今の太陽光発電や自然エネルギーを進めれば、十分間に合う」という方向性の話をしているのかなと感じます。

確かに電力供給に関しては、今のところ需要と供給のバランスは何とか維持出来ているように見えますが、使用している火力発電所設備は本来は停止していた老朽化した設備も多く、いつトラブルで停止するか分からない状態。実際、6月位には確か関西電力でトラブルがあり、かなり綱渡りになっていた時期があったはず。もう一つは、火力発電のコスト、LNGや石油価格の変動についてどの様に考えているのか分からないんですよね。度重なる電気料金の値上げで、個人住宅は勿論、中小を中心に企業活動からも悲鳴が上がる状態。アベノミクスの効果が今ひとつ感じられないと言われているのに、さらに電気料金が値上げされてマイナスの影響が生まれる懸念があるわけです。

朝日新聞のことだから、そう言う懸念に対しても何らかの防御措置(=言い訳)を未公開部分の記事の中で掲載しているかもしれないけれど、専門組織がチェックして、福島のトラブルを前提に設定した基準に対して合格した施設であれば、順次再稼働して安価な電力を供給させ、先ずは日本の経済の足下をしっかりと固めて、景気を良くして行くことが最重要課題じゃ無いだろうか。今は終戦記念日に近いと言う事で、集団的自衛権などの話題も大きくなっているけれど、それだって順調な経済活動が国内に行き渡り、昔のバブル時代では無いけれどそれなりに仕事が増えて、収入が増えて行けば、今の不満もかなり解消されるし、別の懸念である少子化問題だって解消されるかもしれない。さらには、高齢化社会に対しての保護費用の積み増しや、場合によっては新しい生活システムなんかも可能になるかもしれない。結局、経済活動をいかに上手く回すかというのが、一番重要な課題ですよね。

地元でも、浜岡原発の再稼働に関しては、さらに激しい意見の衝突があるでしょうね。中部電力は22mの津波対策の防御壁を完成しつつあるけれど、逆に言えば浜岡原発が再稼働して安定した収入が得られないと、あの防御壁に掛けた数千億円の資金回収が出来なくて、かなりの値上げが必要になるんじゃ無いだろうか。大体朝日新聞の記事を見ても、中部電力管内が一番厳しい状況になっているわけで、正直なところ原発を多く抱える関西電力よりも切迫している気がします。また、中部電力管内には名古屋地区が含まれるわけですが、ここには次の日本の産業として飛行機・宇宙船ビジネスの会社が集まって居るわけで、これらの企業が成功するかどうかが、言ってみれば現在の自動車業界のような牽引力が作れるかどうかにも影響します。まだまだ道のりは長いけれど、福島の問題で古い施設は積極的に廃炉にしつつ、可能であればより安全に、より効率的な新規の原発設置も含めて考えるべきじゃ無いかと思います。その場合には、Microsoftのゲイツ氏なんかも投資しているような、小型原発施設を地区ごとに設置するというのも有りじゃ無いかと。少なくとも「原発=ダメ」という固定観念だけは何とかして欲しいなと思いますね。1万年、10万年先の事を考えることも重要だけれど、5年、10年先の事はもっと大切だと個人的には思います。

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