2014年8月22日

氷水モブ

ALS患者支援のために世界的に広がっている「氷水モブ」。何らかのパフォーマンスで世間の感心を集めて、それによって困っている人の役に立とうという姿勢には共感しますが、世の中に100%何々という事が存在しないように、批判や反論もやはり生まれます。個人的には、なんでALS患者支援の行動が、氷水を被ることなのかよく分からないのですが、多分二者択一(US$100の寄付か氷水を被るか)の悪い方(選ばれない、選んで欲しくない)の選択肢として設定しているんだろうけど、その程度によってはその意図から逸脱して単なるおふざけになる可能性もありますよね。

例えば、氷水を被る代わりに「頭を丸める」という選択肢を設定したとしたら、抵抗が大きすぎてこれほど大きな広がりはないでしょう。また、「氷の入ったバケツの水を被る」ではなく、「コップの水を顔に掛ける」程度であったら、やはりイベント性が足りなくてこれほどの広がりは無かったかもしれない。社会的なルールを逸脱しないで、それでもある程度の面白みと意外性があって、誰でも参加出来る手軽さとインパクトもある行為を抱き合わせることで、単に「寄付してください」というよりは大きな広がりを得ることが出来る、言ってみれば効果的なモブマーケティングですよね。

ただ、そう言ってしまうとちょっと身も蓋もないわけで、そう言う仕掛け仕込みをいれるにしても、当事者に対して配慮とか世間的な常識みたいな事も考慮しないといけません。多分出るだろうなと思っていた、水不足の時に水を無駄遣いするなという話しとか、氷なんて言うのは日本とかなら普通にあるけれど、まだまだ貴重な資源という地域も多いでしょうし。あと、台湾のALS患者からは自分達はそんなことも出来ないという批判も出ているみたいですしね。本当の目的はALS研究治療の資金集めだろうから、そう言う意味では成功しているプロモーションなんだろうけど、そのやり方に抵抗を感じる人も出てくるのは仕方ないのかもしれません。こういうネットワーク社会になりつつある現代ですから、昔のようにビラとかポスター等で告知するよりは、ネットでの画像とか動画の力で一気に広めるのが最も効率の良い方法ですからね。

ただ、こういうわっと盛り上がるイベントって言うのは、直ぐに急速に終息していくのも確かで、その終わった後をどうするのかと言うのがちゃんと設定されていないと、結局は「盛り上がったね」で終わってしまいそう。さらに、この氷水バケツの発案者である27歳の男性が、深夜に海に飛び込み無くなっているんですよね。なんか、ちぐはぐというか...

日本で何か願い事をす場合には、お百度参りとかしますけど、今回の場合はどちらかというとイベント性が注目されてその先にある目的はなんかぼやけてしまったような気がします。テレビなどでこの話題を取り上げるときも、有名人の誰それが氷水を被った、次は誰それが指名されたと言う事は放送されるけれど、ALSの支援先は何処なのかとかどう言う問題や課題が今あるのかという話題に触れた内容は聞いたことがありません。そういう部分が、趣旨としては分かるけれど、何か引っかかる気持ちを感じる理由なのかもしれない。

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