2014年2月21日

ネイチャーテクノロジー

新幹線のぞみ号の先頭部分が長く伸びているのは、カモノハシのくちばしを模していることは有名な話ですが、シャープもいろいろな自然界の「秘密」を製品に生かしているという記事。私の仕事の中にも、同様の技術を活用している部分があるけれど、自然の力の偉大さに感心すると共に、それを製品の落とし込む作業の難しさもありますよね。記事にもあるように、鳥の羽の形状を扇風機やファンに利用するのは良いけれど、「羽ばたき運動」と「回転運動」では羽の動きが異なるので、単に模倣するだけでも駄目で、そういう部分が一番難しいところでもあります。

形状模倣にしても、その目的によってどうするのかという点も重要で、のぞみ号の先端部分は高速走行時の空気抵抗低減のためでは無く、トンネルに入る時に空気圧縮を出来るだけ少なくして、突入時の騒音低減のための技術なんですよね。だから、トンネルが少ない欧州の高速鉄道車両はあんな先頭部分が不用なわけで、その点日本と他国の高速鉄道の思想の違いみたいで面白い気がします。リニアモーターカーは、逆に空気を上に逃がして高速走行時の空気抵抗を考えたデザインになっていますよね。

今話題になっている自然界の機能の一つに「光合成」が有ります。人工光合成では、光りからメタンとかの化合物を生成させようとしているわけですが、形態だけで無く自然界の「機能」すら模倣することが出来たら、今の産業構造だけで無く、社会構造も大きく変わるかも。で、そう言う「余裕」から、次の文明ステージが始まるのかもしれませんね。スタートレックのように、仕事で宇宙に行くのでは無く、使命とか熱意という目的で未知の世界に挑むような。

自然の恵みだけで生活する、というのも一つの方法だとは思うけれど、天候とか天災とか、人間の力では及ばない限界も沢山有るわけで、そう言う時代をずっと生きてきた祖先達は、なんとか安定した生活をしたいという熱意で道具や技術や農業とか、「技術の蓄積」をしてきたわけですよね。今では季節に関係無く、野菜とか果物なんかも作る事が出来るけれど、最初の頃はその季節でどれだけ収穫量を上げるのかというのが大命題だったはず。以下に自然の力を利用しつつ、マイナスの影響を減らす努力をしてきたわけで、自然が主なのは変わらないけれど従の存在の人間が少しずつ自然の中に入り込んできているのが今の時代。これからは、その立場が逆になり、人間が自然を取り込んでいく生活になるのかも。ちょっと期待したい。

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