2013年3月18日

模倣品に学ぶ

産経新聞の経済記事から、自動車部品メーカー大手のアイシン精機が、同社製品の模倣品を「勉強」して、知財対策をすると共に良いところを吸収しようと言う話。知財対策で、模倣品を解析するというのは普通だけど、そこに「でも、学ぶべきところがあれば取り込む」という意識は素晴らしいですよね。特に、物理的な部品とか製品(ハードウェア)は、労力とか工作機械とか、それなりのリソースとツールがあれば、今は大体のものが出来ますからね。日本の職人芸レベルの製品は無理でも、世界ではその半分どころか1/10位のレベルであっても問題無く使ってくれる場所は多くありますから。

と言うか、その「職人芸」にしても、特に中国などは時間をかけて吸収することは過去の歴史も証明していることで、最近では一寸昔の日本の職人さんレベルの技量を持つ職人も多く生まれて、日本としても安閑とはしていられない分野も。まぁ「職人芸」については、まずは「人」ありきの話だから、日本でその技を継ぐ人材が無くなれば消えていくしか無いわけですからね。一方で、工作機械等で出来る作業であれば、極端な話高性能の機械を輸入するなりすれば、後は材料とエネルギーがあれば、場所はどこでも構わない。勿論、単純に機械を揃えただけで同じ品質のものが出来るとは限らないけれど、でも職人芸の人材を育成するよりは遥かに早くキャッチアップ可能ですからね。

悪い意味では無いけれど、模倣品の凄いところは、安く作るために想像出来ないような事をやっていることで、それはまっとうな技術者から見たら信じられない部分もあるけれど、特にコストリダクションの部分では結構面白いところもあります。勿論、単純にそのパーツをコストリダクションしたからといって全体にどのくらいの貢献があるのかは難しいところだけど。それに、コストダウンの場合、原価とか強度とかある程度定量的に判断出来る部分もあるんですが、例えば「質感」とか「経年変化」とか、数値化が難しい部分や、官能的な評価部分などは難しいところ。そういう部分は、元々の素材の部分を残して、コストダウン出来るところをうまく活用すれば、例えば元の製品の品質・付加価値を出来るだけ残しつつ、例えば価格が半分とか1/3とかになれば、それは強力なセリングポイントになりますからね。

決して模造品を誉めるわけじゃ無いけれど、ある意味彼らもコストダウンすることが最大命題なわけで、そこには結構目から鱗の技術や理由があったりします。模造品だから、汎用品だからと見下す・諦める事がエンジニアとして最大の敗北なのは紛れもない事実ですね。謙虚に学ぶと言うよりも、「貪欲に学ぶ」姿勢を忘れちゃいけないな。

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