2013年3月25日

日本の文房具

BPnetに掲載されていた、中国での文房具に関わる話。読んでいて何となくデジャヴのように思い出されたのが、自分が初めてアメリカに出張で行った25年くらい前のこと。初めての出張の時は、当時の先輩社員にいろいろ出張のKnow-Howを聞き回って居たんですが、その中で異口同音に言われたのが、「ノートと3Mのポストイットは死ぬほどあるけど、それ以外は全部持参した方が良い」ということ。「ボールペンとか、ハサミとか無いんですか」と聞くと「あるけど使えない」という返事。で、実際に出張してみて、よぉーーーーく分かりました。

ボールペンはあるけれど、直ぐに液だれしたりして使えなくなる。ハサミはあるけれど、日本で言うところの裁縫ばさみみたいな大きて重いものしかなくて、片手で簡単に細かく操作出来る軽くて小型のハサミは無し。ホチキス(ステープラー)もあるけれど、書類を閉じるような大型の物ばかりで日本の用紙を数枚閉じるような小型の物は無し。当然、それに使う針も無し。豊富にあると言われたノートにしても、日本の物のように糸綴じ・糊綴じしたものでは無くて、ほとんどがらせんのぐるぐる巻いた針金で綴じてある物。これ、左側のページに書く時に右手に針金部分が当たって凄く使いづらい。それに、髪質も悪くてゴワゴワしているし。ポストイットにしても、メモ帳くらいある大判の物は幾らでもあるんだけど、付箋に使えるような細い小さなサイズの物は無いんですよね。仕方が無いからカッターで細く切って使いました。

まぁ、最近では品質や使い勝手も向上してきたけれど、それ以上に日本の文具の品質ってアップしてますからね。一時、小さなケースにハサミからホチキスからいろいろな文具をコンパクトにまとめた物が流行って、私も出張に持参したことがありますが、それをアメリカ人の前なんかで見せよう物なら、もう「欲しい・欲しい」の大合唱。頼まれて、出張前に東急ハンズで買って行ってお土産にしたこともあったけれど、今も日本の文房具っていうのは、ちょっと真面目な部類のお土産としては人気ですよね。

勿論、価格的には結構高価な部類に入る物も多いけれど。個人的にちょっと侮れないなと思ったのが、良くホテルの部屋に置かれているBICの安いボールペン(多分10本で100円とか)。あれ、ボールペンの先が少し太字でしかもソフトな書き味で、個人的には凄く気に入っている物です。価格的にもデザイン的にも機能的にも、日本の「軽薄短小」製品の反対側にあるような商品だけど、気にせずに使える「汎用文房具」としてはある意味頂点にある商品じゃ無いかと思うんですよね。で、そう言う棲み分けというか商品の分類って、何も文房具の世界だけで無く、どんな商品分野にもあるわけで、その中で長く日本は「軽薄短小・高機能高付加価値」の分野でトップに居たわけです。でも、最近では製造技術が機械化されて、必要な製造装置が入手出来れば何処でも誰でもそれなりの物は作れるようになってきたから、そうなると「世界の工場」である中国の独壇場になりますからね。日本としても、さらに高付加価値の製品にシフトしていくのか、あるいは廉価モデルだけどそれなりの付加価値と魅力的な価格設定の商品開発に向かうのか、凄く厳しい場面だと思います。

文房具の中にも、勿論何万円もするような高級な製品もあるけれど、生前が数百円程度の価格帯の商品ばかり。そう言う中で、機能とデザインと価格を磨いていける日本の文房具業界が元気なうちは、まだまだ日本の製造業も捨てたもんじゃないと言えるんじゃ無いでしょうか。一度、テレビ東京の「和風総本家」で特集して欲しいですね。

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