2013年1月7日

垂直分業

「月給1万円のカンボジア人が「日本語入力」 日本人に残された仕事はあるのか?」というコラム。日本人が中国・タイに仕事の外注をし、そこからさらに簡単な作業をよりコストの低いカンボジアに仕事が外注されるという、垂直分業の話。ただ、コラムの中の記述でちょっと勘違いかなと思うのが、別に日本人がカンボジアに仕事を回しているわけでは無いと思うこと。多分日本人の発注元から見えているのは中国やタイの一次下請けだけで、そこがより安くデータ加工できるようにさらに二次下請け先をカンボジアに発注しているだけだと思う。

自分は、1990年代の後半から、台湾や中国の関連会社と仕事をして、似たような仕組み(スキーム)を作ってきたから、この手の話はよく分かるけれど、重要なのはこういった垂直分業体制を作る場合、その頂点にいる日本人は、そこであぐらをかいているだけでいいと誤解されるけれど、そうじゃ無くてその頂点をもっともっと高く延ばしていき、裾野を広げる努力=より付加価値の高い仕事、に進まないと、頂点から転げ落ちてしまうと、低い位置での仕事は無い、ということ。

例えば日本でも「下請け」とか「中小企業」と呼ばれる分野が有り、単純作業的な製品製造をしているところは、どんどん消えています。それでも残っているところは、例えばより精確な微細加工をしているところとか、多品種製造して顧客ニーズに答えているとか、やはり何らかの付加価値をもっているところだけ。何年前は良かったというは話をよく聞くけれど、世の中全体、世界全体がより良い生活水準を目指している以上は、昨日までと同じ事をしているだけでは駄目なんですよね。

製造業の場合は、物理的な物の移動が発生するので、製造するインフラや人材の確保と共に物流システムの有無や利便性も大きな要素ですが、ソフト開発に関して言えば、それなりのスピードと容量が整っているネットワークインフラの地域であれば、後は人材確保が出来れば、それが中国の内陸部だろうとチベットだろうとカンボジアだろうとあるいはヨーロッパだろうと「移動コスト」を考える必要は無いんですよね。製造業のように、製造・開発インフラの準備をする手間とコストが事実上不要な分、ソフト開発の海外分業はどんどん進むでしょうね。

いろいろな業種によっても違いはあると思うけれど、1つ確かなことは、去年よりも今年はさらに付加価値を付けないとビジネスは出来ないということ。その内容やレベルもどんどん高くなっていて、それは大変な作業だけど結局それが出来ないと駄目なんですよね。そう言う厳しい時代だからこそ、やり甲斐も生まれてくると信じたいです。

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