2012年6月6日

スカイマークのコンセプト

スカイマークの掲げた「サービスコンセプト」の内容に、いろいろと注目が集まっているわけですが、ここにそのコピーが掲載されています。その中で、#2, #3, #4, #6, #7については、表現の問題は有るけれど、まぁ通常の内容かなと理解出来るものの、残りの三つの事柄については疑問が生まれます。

まず#1の「収納は自分で」と言うことだけど、確かにそれは前提となるものの、LCCの必須命題である定時運行のためには、どれだけ素早く機内に乗客を乗り込ませて着席させるかが一番重要なはず。その為には、逆に乗客の意向云々よりも、とにかくどんどん荷物はビンボックスに入れされるとか、座席の下に置かせるという作業が、CAの目的になると思うんですけどね。だから、この内容は会社の目的と相反している気がします。

#5の、スカイマークのCAは「客室乗務員」では無く「保安要員」であると書かれています。であれば、「私語をかわす」と言うことは、保安業務を怠けていることになるんじゃ無いだろうか。「保安」というのは、機体がトラブルになったときだけじゃ無くて、常に不審者がいないかとか、規則違反者はいないか注意していないといけないわけですしね。それに、周りから不信感をもたれる「保安行為」って、意味あるのかとも思うし。

で、最後の#8は、何か最後通牒みたいな雰囲気も感じられる内容なんですよね。「一切」というのが、どこまでの「一切」なのか。例えば体調が悪いとか言う事になっても必要な対応をしてくれなくても「一切受け付けない」のか。で、機内では定時運行のために受け付けない苦情でも、会社の苦情センターでは受け付けてくれるのか(それで解決するとは限らないけれど)。せめて「精一杯の対応はするが、定時運行有線のためにすべてに対応するわけでは無い。個別の苦情については苦情センターへ」くらいの言い方をすればまだ分かるんだけど。

例えば、#3のヘアースタイルやメイクを統一しないことは、CAが美容法を学んだりするコスト削減になるだろうし、また#4の制服を最小限にすることもその分コスト削減に繋がると思うので、これはLCCとしては意味ある宣言だと思うんですよね。実際、海外のLCCなんかも同様の事をやっているし。一方で、#6のように、LCCのコスト削減とは関係無く逆に自らの責任を放棄するような内容も混在させて表記するのはどうだろう。赤ちゃんの泣き声は、確かに他人にとっては迷惑と感じることもあるけれど、少なくとも泣いているから離陸できない・着陸できないと言う事は無いはずなので、これを我慢しろと言うのはまだ理解出来ます。でも、それ以外の、例えば酔客であるとかの対応まで放棄して、それはお客様同士の責任等と言われてしまったら、これは困ります。それで機内トラブルになれば定時運行にも支障をきたすわけですし。だから、全体を通して読むと、LCCとしての言い訳を入れながら、何か厄介払いもしたいという思惑を感じる文面なんですよね。

「低価格運送業者」として、価格と経路を優先して、それ以外の部分はカットするというのであれば、それはそれで有りだと思います。今回の「サービスコンセプト」には、それがどれだけコスト削減に貢献するのと疑問符がつくこともあるけれど、会社としてそれを是として認めているのであれば、それを受け入れる乗客は利用するだろうし、そうで無い乗客は他社を使えば良いだけの話ですからね。ただ、そこまで言うならと思いスカイマークのサイトに行ってみると、このサービスコンセプトが見つからない。例えば「サービス/サポート」には同様の説明があるかと思ったら、見つかりません。ニュース、インフォメーション、プレスリリースにも見つからない。多分、座席にこの紙が入っているだけなんでしょうね。でも、それって卑怯じゃ無いかなぁ。今回報道でこういうことが分かったけれど、これまではチケットを買って搭乗するまで「そう言う会社」だと我々は知ることが出来ない訳だから。結局は、その場での言い訳のためにこういう物を作ったとしか思えない。よくトラブルの話を聞くし、路線開設しても直ぐに撤退するし、企業としてあるいはサービス提供者として、"Credibility"を感じられない会社が、さらに拍車を掛けてしまった、と言う印象ですね。

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