2012年3月22日

日本製の意味

レノボが、JVのNECの米沢事業所で法人向けのカスタマイズ製品を作る予定という記事。以前にも出た話で、記事を読んでも特に目新しい内容は無いので、なんで今? という気はするけれど、去年にはHPの昭島工場での「Made in Tokyo」モデルが記事になっていたから、それ程目新しい話でもないですよね。富士通も、以前から国内生産を売り物の一つにしていたし。

パソコンに限らず、国内で製造する最大のメリットは国内流通の迅速化でしょうね。勿論、製造における品質向上も期待出来ますが、逆に人件費はかなりアップします。以前は、中国と日本の人件費は10倍位の差があったけれど、今は数倍位でしょうか。それでも、コストだけ考えれば海外生産には大きな魅力がありますよね。特に円高の今は。パソコンや家電製品も含めて、製造だけ考えればコストもそうだし、それら製品を作る部品・部材メーカーも海外(特に中国)に集中しているから、実は国内で製造するよりは海外に集中した方が、作る側からすればメリットは大きいはず。

想像ですけど、HPにしてもレノボにしても富士通にしても、キーとなるマザーボードとか筐体とか、そういうものは海外の協力工場等で作り、半完成品状態で輸入し最終組み立てだけは国内でするんじゃないかな。そういう意味では、「Made in Japan」というよりは、「Built in Janap」とか「Assembled in Japan」というのが正解かも。30年近く前、自分が仕事を始めた頃は、本当にLSIも国内で作っていたし(確かNECとか東芝とか)、それらを使ったマザーボードも国内メーカーに発注していたし、全て国内のメーカーが製造した部品から一つの製品を作って、文字通り「Made in Japan」という製品が普通にありましたが、今それをやろうとすると、多分凄く特殊な製品とか、高価な製品を除けばとても無理でしょうね。

最近思うんですが、今言うところの「Made in Japan」は、実際的には「Made by Japan」とでも言う方が正しいし、そういう方向にビジネスも進んでいかないと、特に汎用製品とか一般流通製品等のコストセンシティブな製品は勿論、かなりの日本製品がこれからの競争に負けてしまいます。その中で日本のメーカーがしっかり抑えなきゃいけないのは、頭と尻尾の部分。頭は、その製品コンセプトやデザイン、あるいは使用決定という骨格部分であり、尻尾は製品の品質作り込み・検査や流通・サービスと言う部分。勿論、途中の製造工程とか、製品の作り込みなんかも重要だけど、そういう部分は正直今の海外製造拠点の人材でも何とかなる時代になってきたと思うんですよね。だから、日本人として抑えなきゃいけないのは最初と最後、文字通り「首尾良く行く」ために。そこさえきっちり抑えられれば、その製品は「日本製」と言っても良いだろうし、その魅力も消えないと思います。

「食べ物の世界」が凄く参考になるんじゃないでしょうか。外国の食材や調理方法を取り入れて、「和食」を作ることも得意だし、海外の料理・調理を日本風にアレンジして、逆に地元でブームになることもあるし。それが日本人の舌に合うだけでなく、海外の人の舌や味覚も魅了する「料理」になっていく。あるいは、ラーメンのように数百円の商品に対しても、スープや麺やトッピングに拘る、ああいう方向性が日本再生のキーワードになる気がします。

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