2012年3月7日

休眠口座 (2)

Nikkei BPnetに掲載された、大前研一氏の「休眠口座」に関してのコラム。休眠口座の活用については、多くの報道で、「銀行に残されたままの長い間取引のない口座を、政府が強制的に召し上げて使う」みたいな言い方をしているけれど、あれって銀行側の意図が影響しているのだろうか。実際には10年以上出し入れのない口座でも、その後アクセスがあれば返金しているわけで、全体のうち70%近くある「本当に持ち主が現れない」口座に付いて、もっと有効利用しようというもの。で、そのお金は今回のように第三者が何らかの利用をしなければどうなるかというと、銀行の利益に計上されるわけですよね。コラムの中でも
『冒頭で銀行業界は「もともとは顧客のお金」と言って反発していると紹介したが、銀行はその「顧客のお金」を「利益として計上」しているのだから、ネコババしているのは誰か、という笑えない話になる。』
 と指摘されているわけですから。で、大前氏としては、そのお金を利用して起業家支援をすればと提案するわけですが、これって私も以前書いた話と同じ。大前氏の経験則では、良い条件を設定しても、起業した会社が上場まで成長できるのは1%と非常に厳しい競争であることは変わりないけれど、起業家間競争どころか起業する意欲すら無くなっているのが今の日本の問題点なわけだから、仮に達成率が0.5%とか0.1%でもあっても、例えばこれから一年間に1万社の新しい会社が生まれるだけでも、かなり日本の社会の活気が違ってくるのではないだろうか。

実は昨日の新聞記事で、円高のために海外に拠点を移す日本企業が多い中、逆にアジア地域の研究開発拠点として外資系企業が日本に拠点を新設・拡充しているという話。日本が保有する世界トップの素材技術や、高い技術力を保有する中小企業、いわゆる「町工場力」が認められてと言う事が理由だそうです。こういう部分にも、銀行の休眠口座資金を利用して、例えば中小企業の技術力を売り込んだり、あるいはそういう同業社・地域内異業企業がネットワークを作る資金に出来れば、かなり慶山活動への影響は大きいと思うんですよね。それで、サポートした企業が好調になれば、それはそれで銀行も新しいビジネスチャンスになるわけだし。

決して小さくない金額のお金が、実は手つかずで単に毎年積み立てられているだけなら、せめて5年とかの時限立法でもいいので、今それらのお金を有効利用すべきじゃないでしょうかね。

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