2012年1月27日

スイートスポット

NTT docomoの通信障害事故についての発表内容が掲載されています。当初聞いたときには、スマホの普及によりトラフィックが逼迫してきたので、それに対応してパケット交換機を更新した、はずなのに対応出来なかったという、矛盾した内容に???と思ったんですが、発表内容を見るととりあえずはなるほど、と。でも、それでも腑に落ちないのが、何故端末の同時接続数は倍以上にしながら、制御信号の能力(データ処理能力)は現状の半分に削減してしまったのか、と言うこと。普通ならば、リソースのバランスを考えて、ある部分を増やしたら、それ以外の部分は同じか、減らすにしても半分と言うことは中々しないと思うんですが。今回、11台あった現在のパケット交換機を3台に集約したと言うことで、1台当たりの能力を単純に割り算をすると、現在の交換機の能力は「接続数=8万/制御信号=250万」に対して、新型は「 接続数=60万/制御信号470万」と、性能は向上しています。ただ、1接続あたりの制御信号処理能力は、現在の交換機が31.25なのに対して、新型は7.83と、その能力は1/4程度にまで下がります。今回の想定値(71万/1200万)で1台当たりの制御信号の処理能力を見ると、16.9になり、それが実際には71万/1650万=23.2だったわけで、安全係数としてちょっと甘く見積もり過ぎだったんじゃないだろうか。

よく分からないのが、実際にどの程度の端末接続・制御信号処理が発生していたのか、それをモニターして新しい交換機への切り替えをしなかったのか、ということ。 さらに言えば、新型交換機の接続数に対しての処理能力の割合は、あまりに貧弱ですよね。絶対値はアップしているけれど、トータルのバランスを見るとひどく値が下がっています。車で言えば、エンジン出力や最高速度は大幅にアップしたけれど、車体重量がそれ以上にアップして、燃費が以前の半分くらいになった、みたいな話。

この事故を伝える記事やニュースを見ると、スマホで使われている無料の電話ソフト(Skype?)やVoIP系のアプリが予想以上に制御信号(=データ通信料?)を使うために、処理能力が追いつかなかったというような説明をあちこちでされていますが、それって本当だろうか? だって、交換機の交換時に急にスマホのアプリが変わってパケットが急激に増加したわけでもないだろうし。正直、パケットのデータ量の見積もりを誤り、さらにアンバランスな新機種を入れて、それに拍車をかけた、と言う気がします。そう言う意味で、今回の事故に関してはdocomo側の責任は、これまでのように物理的に回線が故障したり、何かの理由でスタンバイ機能が動かなかったような場合に比べて、責任は大きいんじゃないだろうか。

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