2011年6月30日

電力危機

ここ数日30度を超す猛暑が続き、昨日の関東では35度を超す猛暑日になったこともあり電力使用率が93.6%(4570万KW/4880万KW)まで上昇。東京電力も、火力発電所の再開や水力発電所の揚水発電で、確か5300万KW位まで最大供給量を上げるはずですが、ちょっと天候の方が待っててくれない様子。で、たまたまその日の夕方の番組で、この話題が取り上げられていたんですが、某女性経済コメンテーターが「いゃ、実は隠し発電があるんですよ」みたいな話をしてたんですね。さらに、その話を受けてスタジオにいた某有名コメンテーター氏が「もっと正確な発電量と使用量を出すべき」みたいな事を言ってたんですが...

私は強電関係に詳しいわけではないけれど、リアルタイムに発電量や供給量を制御・把握できるとはちょっと思えません。ある程度のマージンを取って運用していると思うんですよね。そのマージンが数%なのか10%位あるのかは分からないけれど、そういう安全係数も含めての今公表されている値のはず。だから、確かに実際の値ではないかもしれないけれど、事実上の値ではあるわけです。そういうものを無視して、「いゃ実際にはまだxx%余裕があるはずだから、今日の93.6%も実は89%で大丈夫」なんていう話をし出すと、結局全く余裕のない値で四苦八苦しなくちゃいけないのは、電力会社だけでなくユーザー側にも降りかかるわけです。だから、隠し発電とか余力があるとかいうのはいいけれど、だから今公表されている発電量とか使用率は信じなくてもいい、と誤解させるような発言は止めて欲しいですよね。

例えば、電力供給の限界(最大値)は断崖絶壁の崖っぷちみたいなもの。で、最大供給量は、その手前に貼られている安全策。観光客自身でも、ここまで出れば危ない・ここまでなら安全という判断は出来るけれど、万が一と言う事を考えて安全策は張られているもの。崖っぷちと安全策の間隔(=マージン)を、1mでいいのか、5mは欲しいのか、あるいは5cmでもいいのか、それはある程度の常識というか総合的な判断で決まるもの。5cmでは流石にぎりぎりで危険だし、5mでは折角の絶景を満喫してもらえない。それなら、1m位であれば、両方の問題に妥協できるのではないか、という判断をするはず。それを「いゃ、まだ1mも余裕があるからあと50cmや70cmくらい前に出ても大丈夫ですよ」というのは、無責任ですよね。「1mの余裕があるから、万が一突風が吹いて身体が持ち上げられても、後から押されても崖から落ちることはない」というような事を言わないといけないはず。本来なら、そういうガイドをするのがマスコミの役目だと思うのに、原発事故を意識してなのか、実際と違う事を言うのは許されないような雰囲気で話をしている画面の向こうの人達に、ちょっと呆れてしまいました。

悪いことや不正なことを隠すのは良いとは言わないけれど、ある種のNeed-to-Knowというか、情報を開示すべきレベル、必要とするレベルみたいなものがあると思います。そういうことを理解しないで、単に「正確なこと、事実を述べているから正しいのだ」という事を言うのは、少なくとも情報社会では「単なる困ったちゃん」だなと感じます。

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