2011年3月18日

大地震備忘録 (4) - 経験則

今回の被災地ほどではありませんが、私も一度だけ災害に遭遇して孤立状態になったことがあります。今から20年近く前、USに出張していたとき。当時は数ヶ月単位で日本とUSを行き来していたんですが、その為この時は同じように日本から出張していた同僚と、アパートをレンタルして滞在していました。で、確か出張して2週間目位かな、Cat-5クラスのハリケーンが滞在していた都市を直撃して、街は停電するし、道路も倒木などで使えない状態になりました。確か、木曜日のお昼くらいからオフィス閉鎖になり帰宅命令が出て、その夜の7:00頃かな、停電となり、深夜くらいにハリケーンが通過して(この時には、一応Cat-4位になっていたみたいだけど)、翌朝金曜日は日本で言うところの「台風一過」の快晴で、前日の嵐の気配はみじんもない状態。でも、アパートから外に出てみると、至る所で大きな木が倒れていて、勿論停電も続いています。

不思議なことに、この時電話は生きていて、日本のオフィスから安否確認の電話がかかってきて、取りあえずアパートの被害は周りに風邪で吹き飛ばされてきた枝とか産卵している程度なので「大丈夫ですよ」と返事したんですが、実際はこの後復旧には一週間以上かかるような状態でした。で、この時に重宝したのがレンタカー。当時は、アパートのテレビしか情報入手できる手段が無かったのですが、停電なのでそれも使えず。しかも、後で知ったのですが、このテレビはケーブルテレビに接続していたので、結果的にケーブルテレビが復旧するまで一週間位は使えませんでした。ただ、私は多少電気の知識があるので、試しに適当に作った外付けアンテナを付けてみたら、ちゃんとローカル放送を拾ったので実はそれ程困らなかったんですが。

で、まずは情報入手と言うことで思いついたのが、車のラジオ。レンタカーを使っていたので、車のラジオを付けて、慣れない英語ながら何とか周りの情報把握が出来ました。バッテリーがどの程度持つのか不明だったので、時々エンジンをかけてみたりもしましたが。もう一つ助かったのが、アパートの調理システムが珍しいことにガス方式だったこと。多くの場合、安全のために電気コンロが多いんですが、ここはガスコンロが入っていて、だから煮炊きが可能だったこと。只問題は、停電のために着火用の火花が出ないこと。そこで思いついたのが、車のシガーライターを利用して種火を作り、それでコンロに火を付ける事が出来ました。冷蔵庫も止まっているので、肉とか野菜とか、取りあえずある物を鍋にぶち込んで、適当にシチューみたいなものを作った記憶があります。長期戦を予想しましたから、暖めて火を入れればいつでも食べられるようにと。

そんなことを金曜日は朝からやってたんですが、午後3:00頃に突然電源が復活しました。途中、再び停電したんですが、夕方5:00頃からはずっと通電するように。実は後から知ったんですが、我々が入っていたアパートの直ぐ横に、この地域の電力供給会社のサイトがあり、その為に最優先で電力回復が行われて、そのおこぼれで我々のアパートも最優先で電源が復旧したようなんですね。だから、その後何度か契約変更でアパートを変わる話が出たんですが、毎回この時の経験からこの場所を強くリクエストして、以後何年もここのアパートを利用する事になったんですが、それだけこの時の印象が強かったと言うことですよね。

週末は多少落ち着いたかなと思って、車で少し出かけたりもしたんですが、まだまだ復旧作業が始まる状態ではなく、それでも空いているお店とかあったので、何とか食料調達も出来ました。実は、たまたまこの一週間前の週末にガソリンを満タンにしていたので、ハリケーンの時も90%位ガソリンが入っていたので、結構安心して遠出も出来たし、最初に書いたように車のバッテリーも利用出来たというのが非常に大きな経験になっています。ですから、数年前に実家に戻り自分用の車を購入した時以降も、ガソリンの残量が半分を切ったら必ず直ぐに満タンにするようにしています。何かあったときでも、必ず半分以上のガソリンが入っている状態にすることで、ある程度の移動手段と電源確保出来るようにということで。今回も、地震発生前の週末にガソリンを満タンにしていたので、仮に地震が自宅付近で発生していたとしても、何とか移動手段は確保できていたと思っています。今回の経験で、色々必要な物があることを認識しましたが、少なくとも過去の経験から得た経験則で役立つこともあったなと確認できた事も収穫でした。

今回の津波では、以前のチリ津波の経験を生かして対策したけれど、結局それ以上の津波が襲い対策が効果なかった部分もありますが、結局はそういう経験則を蓄積して、よりよい対策、より効果的な方法を積み重ねていくしないんですよね。その為に大きな犠牲を払うこともあるし、それに報いるためにも残った人間はさらに知恵を絞ることが大切だと実感しています。

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