2010年8月4日

集団登校の記憶

最近育児放棄から幼い子供が亡くなる痛ましい事件が続きましたが、こういった話を聞く度に思い出すことがあります。自分が小学生の頃、「集団登校」といって登校途中で近くの小学生が集まり、上級生(5年生や6年生)が、下級生(主に1年生や2年生)の面倒を見ながら、まとまって学校まで登校していました。自宅は小学校まで直線距離で200m位で、その真ん中当たりに集団登校の集合場所があり、そこはとあるお宅の玄関前でした。で、この家の前で集団登校のメンバーが集まるのを待っていると、毎日家の中からお母さんの怒鳴り声というか罵声というか、そんな凄い状態が延々と続くんですね。実は、この家にも下級生の女の子がいて、どうもこの子が毎朝しかられているらしいんです。「早くご飯を食べろ」とか「支度をしろ」とか「xxxxをなんでやらないの」とか、もう外で待っていると嫌でも耳に入ってくるわけで、子供心に「周りにも聞こえているんだから」と思ったことを今でも記憶しています。最初の頃は暴力も振られているのかと思ったんですが、少なくとも顔に傷とかあざは無かったので手を上げられていたと言うことはないと思うのですが、そんな後でこの女の子が玄関から外に出てきて(大体いつも集団登校の最後の一人だったような)学校に向かって歩き出すと、なぜかホッとしたものです。

凄くギャップを感じたのは、時々このお母さんが外に見送りに出てくることがあったんですが、さっきまでの怒鳴り声は何処に行ったのかにこにこしながら笑顔で「毎日済みませんね」とか言いながら送り出してくれる姿を見ると、中で何が起こっているのか本当に不思議でした。それから暫くして、その怒鳴り声も無くなり、女の子にも笑顔が戻ってきたように記憶しているので、もしかしたら周りから何か言われたのか、あるいは何かの理由で変化があったのかも知れないけれど、なぜか児童虐待のニュースを見る旅の、あの朝の集団登校のシーンが思い浮かぶんですね。あの家の中で女の子が虐待されていたという確証は無いし、当時はそんな風に親から叱られることもたまにはあったわけだし、そんなに珍しいことでもないけれど(でも、毎朝というのは...)、ある程度の「限度」ってあったように思います。でも、それがいつの間にか忘れられてしまって、限度を超えたしつけが虐待になったり、あるいは育児放棄になるんでしょうね。

いずれにしても痛ましい事件。亡くなった子供達はもう還ってこないけれど、せめて安らかに眠って欲しいと思います。

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