2009年1月30日

私的経済話

時々テレビでコメンテーターとして見かける、この上杉隆氏。昨日のDIAMOND onlineでのコラムはちょっと???という内容でした。前半・後半、二本立てみたいな内容だったんですが、その前半の麻生首相の施政方針演説に関しての部分なんですが、うーん、何か文句を付けるための理由を探しているような雰囲気。 上杉氏に限らず、この「景気対策」に関しての報道とか意見を見ると、その殆どが「2兆円の給付金」に関してばかり。実は、私もそんな中の1人ではあったんですが、今月初めに韓国での首脳会談を終えて、帰国後そのままフジテレビの番組に出演していた様子を見ていてからちょっと変わりました。この中では、キャスターの安藤優子氏、木村太郎氏と、やはり給付金について、貰う・貰わないという話が中心だったんですが、この時、実は全体で75兆円の対策がありその中の2兆円が給付金として予定されている、という事を麻生さんが説明して聞いてびっくりしました。いゃ、そんなに予算あるの、75兆円なんて、という疑問も有るけれど、そんなに大きな話とはこの時まで知りませんでした。で調べて見ると、確かに全体の予算は75兆円を超える計画になっている。この中には、まだ決定していない21年度の予算も含まれているし、PDFの最後に掲載されている、各回の予算額とその中のブレークダウンの値が必ずしも一致していない部分があるので、詳細に関しては疑問が残ります。だから、全部を全部そのまま鵜呑みには出来ないし、また一次補正予算の11.5兆円は福田内閣時代の決定だったことを差し引いたとしても、それでも麻生内閣になってからその6倍近い64兆円もの予算が組まれていることには驚きます。 このフジテレビの番組には、宮崎県の東国原知事が中継で参加していたんですが、彼はこの予算内容を理解していて、どちらかというと辛口の印象のある知事が、この対策に関しては評価していたのが印象的でしたね。で、そういう雰囲気の中、でもキャスター達が質問するのは2兆円の是非と首相が受け取る・受け取らないという低次元な話。結局不毛な話のみがスケールアップされて無駄に時間が過ぎていっただけのように感じます。そんなことよりも、中小企業支援の状況だとか、高齢者の医療費負担の詳細とか、伝えなきゃいけないことはもっとあるはずなのに。 上杉氏の話に戻ると、一番違和感を感じるのが、
「世界が同時に、かつてない不況に入りつつあります。日本もまた、この世界不況から逃れることはできません。しかし、大胆な対策を打つことで、世界で最初にこの不況から脱出することを目指します。異常な経済には、異例な対応が必要です」(同前/所信表明演説)  麻生首相が、「日本だけが助かればいい」というようなこの種の言葉を吐いたのはこれが初めてではない。記者会見などでたびたび同種のことばを発している。
というくだり。「世界で最初に」という言葉が「日本だけが」という意味だと言うのだろうか。最後の「異常な経済には、異例な対応が必要です」という言い回しに少し引っかかるのも事実だけど、仮にオバマ大統領が「アメリカ震源のこの不況から、アメリカが最初に脱出する」と言ったら、「犯人のアメリカだけが助かるつもりでいる」と上杉氏は言うだろうか。 少なくとも貿易立国日本の立場で、この世界的な不況の中で、日本だけが助かる道は無いというのは明らか。でも、だからといって日本の資金やリソースを何処かの国に差し出してまず世界を豊かにするまで日本人が堪え忍ぶという話しでも無い事も確か。金融・経済・政治、全ての面でグローバル化が進みそれを無視した国家活動が出来ないのはもう自明なこと。ただ、それだからこそ世界同時不況と言う状態を何処かが一歩抜け出して、プラスの方向に世界を引っ張る牽引役が必要なんじゃないのか。これまでは、アメリカなりEUが担っていた役割なんだろうけど、今回は過去の経験とサブプライムの影響度合いから日本に期待が集まっているわけで、そう言う意味でも日本の経済が少しでも早く上向きになることは、世界的にも意味があると思うんですよね。 消費税に関しても、少なくとも私が聞いた限りでは条件が整えばという話であって、「2011年から税率アップ」という話をしているのはメディアやその中の人達ばかり。この上杉氏のコラムでも、消費税アップの話が景気回復にブレーキをかけていると書いているけれど、ブレーキをかけているのはそういったネガティブな部分だけをフレームアップしているメディアとその中の人達だと私は思いますけどね。もしメディアが最優先で取り上げなければいけない政治的話題が今あるとしたら、それは遅々として進まない国会での景気対策法案の進展であり、与党vs野党というおきまりの構図ではなく、国会(議員)vs国民という視点から、何が是で何が非なのかということをもっと真剣に報道すべきだと、私は思います。

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