2017年1月17日

書く前に読め

東洋経済のサイトに掲載されていた、50歳からはSNSのカリスマを目指せというコラム。ある程度熟年世代になってもアクティブに過ごそう、新しいことに興味を持とうという、言いたいことは分かるんだけれどちょっと誤解を招く内容だと思う。自分自身で新しい領域を開いて、新しい知見や知識を獲得する前向きな姿勢は是だと思うし、自分もそう言う好奇心をいつまでも持ち続けたいと考えているのも事実。また、自分で獲得して、自分以外の人達組織社会に役立つ情報だと思うのであれば、それを積極的に知らせてあげたいと思うのも事実だし、そう言う共有知が広がることがネット社会の基盤だと思うしメリットだとも思います。ただ、どんなに良いことであってもそれが自分の独りよがりになってしまっては回りの迷惑になるだけというのは、実社会でも幾らでもあること。それはネットでも同様と言う事をちゃんと認識しないと。

一番の問題は、これまで自分には無かった「書き込む・発信する・発言する」という行為が可能になることで、すぐにそっちに走りたがること。1ページ目に子供が新しく知ったことを回りに話す例が書かれているけれど、それは子供がするから許されることであって、大人が同じような事をもっと面倒くさい無いようでやったら、回りは迷惑することの方が多いと言う事も認識しないと。また「反論を恐れるな」というのは確かに事実ではあるけれど、反論に対して冷静に議論する、あるいは互いに批判するという態度や気持ちが無いと、反論を受けるとかっとして炎上することが殆ど。良く勘違いしていると感じるのが、SNS等のネットの世界はディベートの場では無いと言うこと。特に、twitterなんていう当事者同士の議論に向かないツール(どんどん拡散して、どんどん第三者がコメントしてくるので、本来のスレッドがどんどんねじ曲がる)で議論することが間違っていると思うけれど、ツールの善し悪しは別にしてSNS等ネットの目的は「自分の知識を深めることで、そこには反論や別意見も含まれる」と言うことを理解しないと。欧米のディベートの場所じゃ無いと言うことで、ディベートしたければそう言う設定にしてちゃんと議論として成立する様にすることと、当事者同士はその結果をちゃんと受け入れる事を認識しないと。だから、ディベートで負けた相手を全否定するようなことは間違っていると思うし、実は新しい情報や知識が追加されて結論が変わることもある。

本当に自分が何か書込んで発信したいと思うのなら、まずは最低でも3カ月、出来れば半年くらいは何も書き込まず、自分の興味の分野とか書き込みたいと思う話題に関しての世間の情報の流れをずっと読むだけの生活を先ずはするべき。そこで、今どう言う話がでているのか、どう言う異論反論が大勢なのか、自分と同意見はどの様な話がされているのか、そう言う全体の状況を先ずは認識するべきで、それ無しでいきなり自分の意見を書き込むことは火に油を注ぐだけだと思います。で、書き込む場合も、まずは100の他人の意見を読み直し、さらに1000の反対意見を考察し、さらに10000の派生した意見を読み砕いて、その上で自分の意見を準備したら、一日おいて頭を冷やしてから、それが投稿するに値すると思うのだったら、初めて投稿するくらいの気持ちでいないと、多分満足できるネットライフは生まれないし、正直そこに書き込まれる意見や情報の価値も無いと思います。そんなことを言っている自分も日々色々な話を書き散らしているけれど、少なくともそう言う気持ちは忘れないようにして何十年もこういう世界に出入りしているつもり。

いずれにしても、元のコラムを読むと、50歳になって初めて運転免許証を取得した人に、いきなりスタントカードライバーになる事を勧めているようにしか感じられないのが危険だなぁ。まずは交通ルールを熟知して、ゴールド免許証を目指すのが筋だろうと思うけれど。そこからどんなドライバーになるかは自由だと思うけれど、まずはそこに至る過程をちゃんと踏まないと。特に年齢を行ってから新しい世界に入る時には、それまでの経験や知識が邪魔になる事も多いという事も認識して欲しいですよね。自戒の念を込めて。

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